陸前高田商工会


人々が集う中心市街地にしたい

「まちなかマップ」を示しながら語る 佐々木誠さん(陸前高田商工会事務局長)

ようやく、まちなかに店舗の再建が進みつつある
 約500の会員からなる陸前高田商工会(2017年4月1日現在)。2011年の東日本大震災津波では、市街地のほぼ全域が津波で流され、商工会会員事業所のほとんどが被災した。
 高台の造成やかさ上げによる中心市街地づくりの工事が続いていたが、震災から6年を経て、2017年春に大型商業施設「アバッセたかた」が完成。その周辺にも次々とお店がオープンしつつある。佐々木さんが手にしているのは「まちなか出店者マップ」。すでに本設工事を終えて開店している店、これから出店予定の店が、中心市街地の地図に書き込まれている。その数約50店舗。大型商業施設「アバッセたかた」内の20店舗を合わせると70店舗になり、さらに多くの店の立地が期待されている。

商工会会員の約9割が被災
 震災当時、陸前高田商工会には699人の会員がいたが、その約9割が被災した。被災した会員の半数以上は営業を継続・再開したが、廃業した会員も多い。2017年4月1日現在の会員数は496。最も多いのは小売業と飲食店だから、まちなかの再建は待ち遠しかったことだろう。
 商工会が入っていた商工会館も流されてしまった。震災直後はテントで活動を再開し、その後プレハブの仮設事務所に移って業務を続けていたが、2018年、ようやく中心市街地に新しい商工会館が完成した。

中心市街地に完成した陸前高田商工会館の落成式 2018年6月3日

テントにて業務を再開 2011年3月30日

中小企業基盤整備機構が建設したプレハブに移転 2012年3月

商工業の復興に向けたビジョンを提言 ~コンパクトシティ~
 その間、2011年には「商工業復興ビジョン」を、2012年には、新しい中心市街地・商店街の整備について、陸前高田市に要望書を提出した。
 要望したのは、(1)商店街や公共施設がまとまったコンパクトシティにすること、(2)中心商店街地域の工事を先行すること、(3)公設民営による共同店舗を整備することなどだ。(3)の「公設民営」は実現せず「民設民営」となったが、おおむね要望した方向でまちの再建は進められてきた。

「ノーマライゼーションという言葉のいらないまち」をめざしたい
 かさ上げによって新たな中心市街地が生まれようとしている。以前の市街地の半分くらいの広さだ。このフラットな土地に店や公共施設が集まり、誰でも来られる集いのまちにしたい。
 「奇跡の一本松」周辺に、復興祈念公園や道の駅ができれば、そこからも自転車などを使って回遊できるような仕掛けも作りたいとのことだ。

外からの支援で得られたものは大きい
 他の市町村・団体やボランティアの人々などから多くの支援をいただいた。その中で、人とのつながりも広がった。
 陸前高田は、今、次々と新しい店が生まれ、新しいまちができてくる面白みがある。来てもらうたびに新たな変化が楽しめるので、ぜひ足を運んでいただきたい。そうして、新しいまちをつくることで、いただいた支援に応えていきたい、と言う。



インタビュアー
 井上博夫:岩手大学客員教授(陸前高田グローバルキャンパス担当)

 2017年4月、岩手大学と立教大学は、陸前高田に共同のサテライトキャンパス(陸前高田グローバルキャンパス)を開設しました。私は、それと同時に陸前高田に移ってきました。
 中心市街地に開店したお店を取材してブログで記事を発信する取り組みは、岩手大学と岩手県立大学の学生たちによる活動として行わせていただきました。取材先には、お忙しいところをお邪魔させていただき、ご迷惑をおかけすることもあったかもしれません。陸前高田の街の再生を少しでも応援したいという気持ちから発したものですので、ご容赦いただければ幸いです。

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