いわ井

「面白いものを面白く並べる」





1747年から経営しているいわ井の12代目 磐井正篤さん

■いわ井の魅力

 いわ井は、1747年創業という長い歴史をもつお店で、もともとは飾職だったが造り酒屋、酒屋を経て、現在は、食器や置物、手拭いや風呂敷など雑貨も販売するようになった。現在の店内は和の雰囲気で包まれている。
 そこで営む12代目の磐井正篤さんは、商品を並べる際には配置を重要視していて、見ている人が楽しく面白く感じるようにしているそうだ。季節や旬に合わせて商品を置いているので、シーズンごとにお店の雰囲気も変わるところも楽しめそうである。店内で特に気にかけているのは、割れ物の検品をしっかり行うことや、商品の材質・原料や製造者など素性を明らかにしたものを取り扱うことである。そしてなんといっても、お客さんが楽しめないものは置かないことである。
                                                


 〈お月見に合わせた置物〉 


 〈紅葉や落ち葉など秋らしい手拭い〉

 このように和の香りがする落ち着いた雰囲気のお店であり、季節とともに色を変えていくお店である。 もちろん酒屋としても経営している。


〈幅広い種類のお酒〉




■乗り越えたのは

 震災後、陸前高田市の中心市街地で出店するまでに至り「仲間と一緒にやってきたからこそ乗り越えられた。一人だったら無理だった」と磐井正篤さんは言う。震災で家を流された磐井さんは、奥さんと高台にある義兄の家でしばらく暮らすことになった。そして、数ヶ月が経ち友人などから「生ビールが飲みたいね」という声があがり、それをきっかけに震災があった年の5月にお酒を売り出した。しかし、店舗も商品もなくなっていしまっている。どうやって磐井さんは商売を始めたのだろうか。磐井さん曰く、義兄の家のベランダや東屋で販売したり、土日の朝市で雑貨や器を並べて売ったこともあるそうだ。


〈仮説の店舗〉


〈現在の店舗〉

■「繋がることをたいせつに」

 いわ井として店舗を立ち上げるのに、お店に来てくれるお客さんやメーカーさん、その他様々な関係者に支援してもらった。同世代の仲間の紹介でに土地を貸してもらったり、車をいただいたりしたそうだ。本当にありがたみを感じるとはこのことだと震災後改めて感じた磐井さん。取引先に連絡する際も、他の取引先に伝言を頼むことも。そうまでして一刻も早く店を開けたい気持ちが磐井さんにはあった。なぜかというと「援助で物資が揃うことで出ていくお金はないが、商売をしない限りは入ってくるお金がない。それでは働く場所がなくなってしまい、地元を出ていかなくてはならなくなる。そうはしたくなかった」という思いがあったからだ。地元を衰退させないために、本当に様々な人と助け合いながら頑張って来たことがうかがえる。

■「この町に戻ってきてよかった」そう思ってもらえるように…

 磐井さんは、この先何百年も続く町の礎になりたいと話す。これまでの歴史を背負いながら、新たな町としてできた陸前高田市を繋げていきたいのである。そして、「この町にいたいけど帰って来られないという人たちが、戻って来ることができるように」とも言う。こう思いながら磐井さんは仲間と励まし合って、前を向いて陸前高田の歴史を紡いでいく。

【インタビュー先】
店名 いわ井

営業時間 10:00〜19:00
定休日 月曜日
                (月曜が祝日の時は翌火曜日が休み)
連絡先
電話 0192—55—2912
FAX  0192—55—2017
                 MAIL  iwai@fine.ocn.ne.jp
URL    https://www.rikuzentakata-iwai.com
【インタビュー相手】
磐井 正篤さん
【実施日】
2018年9月19日(水)

〜インタビューをしてみて〜
  初めての陸前高田市で、初めての取材経験だったが、お店の方々が気さくに話してくれるので緊張せずに取材ができた。震災後、みんなでゼロから立ち上げ、全力投資して出来上がったのがこの中心市街地であり、だからこそ、こんなに魅力溢れる町になっているのだと感じた。そのような町へ取材できたことがとても貴重な経験だった。

 陸前高田市に訪れた時に寄ってみて、是非いわ井の店舗内の雰囲気や商品を堪能してみて欲しい。


岩手県立大学 K.Y.

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