ファッションロペ×東京屋カフェ

「Only Oneの店に」


コーヒーを淹れる小笠原さん


■笑顔をもう一度


 中心市街地でもっともおしゃれといっても過言ではないのが、この「ファッションロペ×東京屋カフェ」である。
 現在店主の小笠原修さんは二代目で、震災前はファッションロペのみのお店だった。ファッションロペは1960年、小笠原さんの両親が、直接東京から一番の流行の品を仕入れてきたことから始まった。その当時は行商人からの仕入れが多く、都市部から商品が入ってくるまでに半年以上かかることもあったという。
 陸前高田の駅前で小物や洋服を販売していたが、大震災津波で、店舗、倉庫、自宅、すべてを流失してしまった。しかし幸いにも、家族は全員無事だったそうだ。事前に家族で避難について話し合っていたが、震災時について、小笠原さんは「本当に運が良かったのではないか」と述べている。震災後5ヶ月間避難所で暮らし仮設住宅に住み始めると、精神的に落ち着いてきたことで商店街をつくろうという想いに至った。そこで、仲間たちと共に陸前高田未来商店街を開設した。それから約5年を経て、2017年中心市街地に、小売店にカフェを併設した「ファッションロペ×東京屋カフェ」という新しいスタイルのショップをオープンした。
 何故、もう一度立ち上がれたかと伺うと小笠原さんは「震災前のように、お客様に笑顔を贈ったり、頂いたりしたいと思ったから。」と話していた。今もこれからも「笑顔」がキーワードであると話す小笠原さんの笑顔は、とても輝いていると感じた。今となってはそのような姿を見せてくれているが、震災時はやはり心が折れそうな時もあったという。しかし、日々さまざまな方から頂く、多くの物心両面の支援、その支援を無駄にはできないという想いが、前を向く励みになったと述べている。また、小笠原さんは剣道の先生をしていて、生徒に常に「前へ」と教えていたこともあり「自分が後ろ向きになってはいけない」、という想いが心を支えていたという。



ファッションロペで扱われている小物
CAFEから見えるファッションロペ


■ここにしかないもの


 ファッションロペは小物がおすすめ商品である。もちろん洋服もあるが、アンティーク物のような置時計や、女性らしいハンカチ、ヘアアクセサリーなど、見ているだけでも心弾む商品が多く取り扱われている。なかなか見たことがない商品を見ることもあり、一期一会のようで心奪われることも多いだろう。たくさん悩んだり、心を弾ませたりした後は、一杯のコーヒーを飲んだり、スイーツ、ランチ、ディナーを楽しんだりと、ゆっくりすることがおすすめの楽しみ方である。
 東京屋カフェも店主のこだわりが多くつまっている。一番おすすめのメニューは自家焙煎のコーヒーだ。小笠原さんの「本物を味わってほしい」という想いからの生豆の産地や農園までこだわっているという。金額は500円~800円まで取り扱われているが、「誰が来ても美味しい」と思っていただける、手ごろな値段の中で最もおいしいものを提供しているといえる。とくに「東京屋ブレンド」はレシピだけで10種類以上もある。お客様との話や、事前に食べた物からお客様が最もおいしいと感じるコーヒーの味を考え、豆を選んで淹れている。もちろんオーダーでどんな味が好きかを注文しても良い。常連さんの中には、自分の好みに合わせた、世界に一つだけのコーヒーを味わえる人もいる。この東京屋カフェには北上や水沢、盛岡からもコーヒーを飲みに来る人がいる。それだけの美味しさや価値が詰まっているといえる。

 また、ランチ、ディナーのフードメニューも種類豊富で、日替わりパスタやそば粉のガレットがおすすめ、金曜日と土曜日の夜カフェではアルコールメニューも加わります。



小笠原さんに淹れてもらった自家焙煎珈琲


写真のパスタは、ボンゴレ・ビアンコ

ボロネーゼ・フィットチーネ(月曜日、火曜日限定FOOD)

■この記事を見た人へ


 「この中心市街地は、官民一体ではなく市民一体、オール高田によって作られている。外から見たら、改善点など見えるかもしれない、しかし中ではもっと一生懸命にやっているということを知ってもらいたい。これからも、課題を一つ一つ解決しながらこの町の礎になれるようにがんばって、この町に帰りたいけど帰って来られない人たちが、いつでも帰って来られるような町にしていきたい」と小笠原さんは語る。

 そして震災について「震災が起きたら、五感を研ぎ澄まし本能的に動け」と教えてくれたその一瞬の判断で生死は分かれてしまう。自分の命は自分で守る、という大きな教訓を知ってもらいたい。

 小笠原さんは、「これから、この店が居心地のいい場所に、そしてお客様の笑顔があふれる場所になるように、いろいろなことに挑戦していきたい」と語った。




ファッションロペ×東京屋カフェの店舗


ファッションロペ×東京屋カフェ
営業時間 10:00~19:00
休業日 水曜日
電話番号:0192-54-4545
URL:https://www.tokyoyarope.jp/
インタビュー相手 小笠原修 さん
インタビュー実施日2018/09/18


インタビュアー紹介
岩手県立大学 社会福祉学部社会福祉学科 一年

菊池眞悠子

ファッションロペ×東京屋カフェは、すごくおしゃれで、とんがっている。多くのかわいい小物たちに心奪われ、何時間でも見ていられる気がする。そして、自家焙煎のコーヒーも飲みやすいものから、パンチが効いているものまで自分にあった味を探すこともできる。落ち着いた音楽が流れる静かな一時、心落ち着く場所である。
 

 


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