まちなか広場 交流施設 ほんまるの家

「一歩踏み出せる場に」



ほんまるの家入口



陸前高田まちづくり協働センター ほんまるの家 スタッフ 種坂奈保子さん

■「ほんまるの家」

中心市街地の中でも特に真ん中に位置する「ほんまるの家」は、2017年に建設された。日本だけでなく世界で活躍している一級建設士の伊東豊雄さんが、10年前の東京ガス株式会社のイベントで設計をし、今回東京ガス株式会社から陸前高田市に寄贈された建造物だ。
 その特徴は、柱が外側になくガラス張りになっていること、全体が森のイメージで作られているので、木に包まれている感覚になれることだ。外から見ると、何の建物なのか目を引かれる。中に入って見ると、木に包まれ、ガラス張りなので日光もよく入り、とても居心地がいい。また、キッチンも設けられ、15人で囲める大きな円卓があるため、さまざまなイベントや行事に役立っている。とくに、大きな円卓は、全員の表情が見え、席が遠い人とも話せるという大きな利点を持っている。種坂さんも「ロの字の机の会議室では、言葉が相手に届かず真ん中に落ちていく。それが、この円卓だとしっかり相手に言葉が届く」と話していた。そのため、殺風景な部屋で会議をしているよりも、木のぬくもりに包まれ、15人全員で大きな円卓を囲み話し合うことで会議が盛り上がるのだそうだ。
 また、ガラス張りのおかげで外の風景がよく見え、高田の町や目の前にある「まちなか広場」で遊ぶ子供たちを眺めることができる。また、中心市街地の中でも真ん中にあることで、閉鎖的な建物と比べ、他の地域の人が来やすく、自由度が高い。ここで、偶然の出会いが生まれることも少なくない。


ほんまるの家の使い方の絵図


■想いが形になる

ほんまるの家では、施設の使い方を広めるために月に一回イベントを企画開催している。このイベントは、これをやってみたいという市内外の人の声をもとに企画されている。たとえば、映画が見たいという声が上がったことで映画観賞のイベントが開催された。プレゼンターを立て、見たい映画とやりたいことを考えてもらう。いままでに、ポップコーンを作ったり、カキ氷を作ったりとやりたいこともさまざまだ。ここで種坂さんらスタッフが大切にしているのは、先生を外から呼んでくるのではなく、市民が先生になるということだ。映画鑑賞のイベントでは、プレゼンターを市民が担当し企画する。その他にも、ハンドトリートメントや料理教室、お菓子の家を作るイベントなどでも、必ず市民の方が教える立場となっている。このことについて、種坂さんは「ほんまるの家が誰かが一歩踏み出せる場になるよう、何かやりたいな、と思っている人のサポートをしている。その人に自信がついたら、自分でイベントを企画するように自立していってほしい。」と述べている。また、「一生懸命に企画する姿や、参加し楽しんでいる姿が見られることが幸せ」とも話していた。ほんまるの家は、誰かのやってみたいという想いと陸前高田への愛で作られているのだ。
 イベント以外にもちょっとした休憩や料理教室、商品撮影、インタビューなどさまざまな使用方法がある。大人数で使用を考えている際は、貸し切りにすることもできる。貸し切る場合は1時間1,000円、展示や劇などさまざまな人が自由に出入りできるときは1日2,000円である。貸し切りが無い時間は無料で開放しており、毎日9:00~18:00まで自由に出入りすることができる。キッチンがあるため、料理もでき、とても使いやすい居心地がいい施設だ(ただし、キッチンを利用する場合は、1時間300円が必要です)。



映画鑑賞のチラシ

■何でもできる場所へと

種坂さんは、「陸前高田にきたら、ぜひ高田の人に話しかけてみてほしい。高田の人は面白くてクセが強い。高田ならではの面白さがある」と述べていた。この記事を読んだ人が高田に行くのだとしたら、お店の店員さんや住民などに勇気を持って話しかけてみることで新たな何かが生まれるかもしれない。
 そして、地元の若い人たちに向け「地元に帰ってきて、何もできない場所と思われるのではなく、何でもできる場所だと思ってほしい」とも話していた。そのために今、種坂さんらはほんまるの家を使い、市内外の人がつながり誰もが気軽にこられるように種をまいている。




種坂奈保子さんとほんまるの家玄関前で



まちなか広場 交流施設「ほんまるの家」
年中無休
開館時間:9:00~21:00(貸切予約がない日は、18:00閉館)
電話番号:0192-47-3389 FAX番号:0192-47-3397
URL:https://www.honmaru.org/
インタビュー相手 陸前高田まちづくり協働センター 種坂 奈保子さん
インタビュー実施日:2018/9/19




インタビュアー紹介
岩手県立大学 社会福祉学部 社会福祉学科1年
菊池 眞悠子
  ほんまるの家に行くと、何か懐かしいようなとても温かい雰囲気に包まれた。インタビュー内容の整理などで集中したい時も静かな空気がとても心地よく、効率良く作業が進む感じがした。色々なイベントが開催されてきたように、自分ならどう使うかと考えるだけで胸がはずむ。また行きたい、そう感じる場所。そんな場所に出会えたことをうれしく思う。

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