磯ヤ海産
お客さんは家族
二代目店主の佐々木伸一さん
■三陸のうまさをお届けします!
わかめ、こんぶ、のりなど三陸の海産物の加工・販売を行っている『磯ヤ海産』。お店の自慢は、やっぱり三陸産の海産物!! 特に焼のりにはこだわっており、自分の舌で確かめて一番おいしいものしか置いていない、と言う。そのまま食べてももちろんおいしいが、おすすめの食べ方は、少しあぶって、マヨネーズと醤油と一味をつけて食べること。実際に食べてみると、のりの香ばしい香りが漂い、くせになる味で手が止まらない! お酒のおつまみにも最高だ(笑)
「どこでも似たような商品はあるけれど、私はあなたを買っているのです!」。そうお客さんに思ってもらうための秘訣は、お客さんを家族だと思って商売すること。まるで本当の家族に会うときみたいに交流していた。そして、配達に行くと「待ってたよ、よく来たね」、と可愛がられていたそうだ。家族に売るように、美味しくないものは美味しくないと言う「嘘のない商売」をすることが地元に愛される秘訣だと。
店頭には自慢の海産物が並ぶ
わかめ、焼のり、ひじきなど品揃えが豊富
爆弾を抱えて海に飛び込みたい
あの時は、工場を建てたばかりだった。海から400mの所だった。業者の人は、自然災害じゃ絶対壊れないと言っていた。しかし、助かった人は、4階にいても胸まで水に浸かる波の高さだったという。実際の数値や具体的にここまで波がきたという話を聞くと、津波の恐ろしさを改めて実感する。佐々木さん自身も妻、娘、息子の家族3人を亡くし、生き残れたのは自分一人だった。「なぜ自分だけ・・・」。爆弾を抱えて海に飛び込みたい気持ちだった、と語る。生きても、これほど辛い思いをするしかなかった。
中心市街地に出店するまで
震災後しばらくは友人の家に暮らしていた。その友人とは、現在のテナントを提供してくれた村上さんだ。村上さんからも、お話を聞けた。「長い間、彼の面倒をみてしまった。彼は一人だ。もうこうなったら、最後まで責任持って助けてやらないと」。
私は、こんなにも他人(ひと)のことを想い、責任を持つ決意をした人物を見たのは初めてだ。お互いを深く理解しているからこそできることなのだろう。「持つべきものは友」、という言葉に納得した瞬間だった。
佐々木さんは、お店の再建に向けて、様々な団体から多くの寄付などをもらった。しかし、自分のためではなく、ひとのために使っていこうという考えになった。震災前は、飲みに行ったり遊んだり、人生を楽しんでいたが、家族を亡くした震災後は、何をやっても楽しくないなと。でも、従業員のために頑張らなければならないと思うようになり、前を向いて生きることを決めた。
海のおみやげ 磯ヤ海産 【外観】
ここは海のまち
「高田のまちは世界に誇れるまちになることができる」。佐々木さんはそう強く何度も話していた。津波ですべてが流され、何も無くなった高田のまち。「こうなったら逆転の発想で、高田を変えるチャンスだったのではないか」、と語る。陸前高田の豊かな海洋資源をうまく工夫した政策ができればもっとよくなるのかもしれない…。
好きなことをやりなさい
「これが一生の仕事だ! 」と思っていても、あるとき一瞬で仕事や人生が変わることはある。陸前高田も一夜にしてすべてを失い、これまでの生活には一生戻れなくなった。
人生いつ、どこで、何が起こるかか分からない。安定した幸せを手に入れたと思っても、その日常がある日突然失われることがある。そこから前を向いて歩いていくには、相当の覚悟が必要だったろう。また、そうやって頑張って生きようと思えるようになった背景には、友人の支えが大きかったはずだ。人とのつながりは大切にしていかなければならないと思った。私も今いる友人を大切にしていこうと思う。また、佐々木さんのお話を聞いていて、『好きなこと』をやって生きることの意義を知ることができた。後悔がない人生を生きるために必要不可欠だと思った。
現在の高田はまだまだ復興途中だ。本当の復興とは、建物がたくさん建つことではない。若者が住み着いて、働くことができるような状態だと思う、と語っていた。
震災から8年もの月日がたった。高田のまちに、かつてのような賑わいが戻ってくることを強く願う。
インタビュー先
○店名:株式会社磯ヤ海産○定休日:なし
○営業時間:9:00~17:30
○電話番号:0192-55-3406
○インタビューに応じて下さった方:佐々木伸一 様
○インタビュー実施日:2019年9月10日
インタビューアーの自己紹介
岩手県立大学 総合政策学部3年 YUKI沿岸大好き女子大生。中心市街地を取材するのは2度目です。三陸のわかめは、こしがあってしっかり味がついてとても美味しいです。磯ヤ海産で買った乾燥わかめをみそ汁にいれて毎日食べてます~。
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