ものづくりカフェ「アトリエまぁむ」

この地域には ネットワークが大切


代表理事の荻原さん(左)と講師の徳山さん(右)

 私は最初『ものづくりカフェ「アトリエまぁむ」』と聞いて、どんなことをしているのか、どんなお店なのかがわからなかった。今の時代、検索をかければ大体のことはわかるのではないかと思い、ネットで検索してみたが、全くヒットしなかったため、謎は深まるばかりだった。
 このカフェは、陸前高田市が起業者向けに整備した「チャレンジショップ」という、ちょっとした商店街のような場所にある。店内は手前に手芸品の販売店、奥に手芸品を作るスペースという造りになっている。今回インタビューに答えていただいたのは荻原直子さん。荻原さんは、このカフェの経営に携わっている「特定非営利活動法人 まぁむたかた」の代表理事を務めている方だ。とてもハキハキとして、人を惹きつけるような力を随所に感じた。

地域について知ることの大切さ

取材に答えてくださっている荻原さん

 荻原さんは震災当時、銀行員として店舗で勤務中だった。地震が起こってすぐ、店長が「津波が来る、避難しろ」と言ったため、指定されていた中央公園(市民会館)ではなく、市立高田第一中学校に避難したという。銀行の隣には郵便局があったが、そちらは外回りしている局員が不安だからと避難しなかったらしい。しかし、それが命取りとなってしまった。
 震災後、本人確認書類が流されたり、ATMが使えなくなり、顧客がお金をおろせなくなってしまった。そんな中、従業員は、顧客の顔を覚えているかどうかで、預金の引き出しに応じたという。そうした日々を過ごすうち、様々な不安を抱いている地域住民とコミュニケーションをとりたいが、銀行の窓口では難しいと感じ、他の方法を模索するようになった。

リメイクを通じて新たな命を吹き込む

今(9/11現在)制作中のぱっくんポーチ


店舗部分の様子

そんな荻原さんが辿り着いたのは、ものづくりだ。当時仮設住宅では、ボランティアの方々が、支援でいただいた着物の生地を使ってリメイクする方法を教えていた。そこに目を付け、地元の女性たちにスキルアップを促して、支援に新たな命を吹き込むことで恩返しをし、生きがいにしてもらおうと考えた。最初は、作ったものを周辺の人々に無料で配っていたが、今後の生活も考え、生きがいの延長線上として販売することになった。
 荻原さんは、チャレンジショップができることを知り、「チャレンジしてみよう!」、と出店を決めた。はじめは、備品もほとんどなかったが、支援物資でなんとかまかない、開店にこぎ着けた。しかし、もともと無料で周辺の人々に配っていたうえ、一つ一つ手作りでこしらえるため、商品の数がなかなか集まらず苦労したという。

やりたいことができる場所へ

カフェ部分の様子
後ろには支援でいただいた着物の生地がある

 このカフェでは、おしゃべりしながら作品を作るだけでなく、生活相談・悩み相談も気軽に聞いて、その解決に向けたサポートも行なっている。将来的には、地域の様々な情報も提供できるようにして、地域住民のコミュニティを広げられる場、中間的な世代の人たちが集まれる場、にしたいと考えている。また、今は女性中心のものづくり(縫い物など)がメインだが、いずれ男性中心のものづくり(竹細工や網など)も行なっていきたいと言う。
 道具はほとんど揃っているため、お買い物の後にでも手ぶらで気軽に、老若男女問わずに訪れてほしい(もちろんお気に入りの道具があるのなら、持ち込みOK!)。

インタビュー先

 

▷店名:ものづくりカフェ「アトリエまぁむ」
▷営業時間:【火水木】10:00~15:00
▷電話番号:080-4512-0328
▷取材相手:荻原 直子さん
▷インタビューの実施日:2019年9月11日(水)

インタビューアーの自己紹介

岩手県立大学 1年 K.C.

 私は、震災前まで毎年のように陸前高田を訪れていた。震災後初めて陸前高田に行ったのは、中1の時だ。その時は、建物がほとんど建っておらず、再建していけるのかとても不安に感じていた。震災から8年と半年が経ち、だいぶお店が建ってきているが、中心市街地と住宅地が離れているため、まだまだ活気があふれているとは言いがたいと思った。
 今回取材したものづくりカフェ「アトリエまぁむ」さんは、本文では触れなかったが、手作りのかわいらしい商品がたくさん販売されていた。お薦めは、小さいバッグ。私も欲しくなり、買おうかどうしようかとても迷ったが、いろいろあり買えなかった。今度、行ったときには絶対に買いたいと思う。荻原さんは、将来的にやりたいことがたくさんあるというようなお話をされていて、これからの活動がとても楽しみだ。

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