柳下理容所

 「どうもね」とスッキリした姿で帰ってくれたらそれでいい

店主の柳下紀昭さん


親しみを持てる店内に

 柳下理容所の利用客は高い年齢層となっている。そのため、常連客のおじいさん、おばあさんに親しみを持ってもらえるように「黒」「ブラウン」「白」を基調としたシックな店内にしたそうだ。この清潔感のある店内で散髪してもらえば、年齢に関係なく、よりスッキリとした気分になることができるだろう。

観葉植物も良いアクセントになっている店内


ふらっと来て頂ければ

 この理容所の特徴は、予約無しでお客さんを受け入れるところだ。一人で経営をしていることもあり、予約を無くし、ふらっと気軽な気持ちで来て散髪してもらうことができる。よく、来店前に予約をするのが「苦手」、「面倒」だと言う人がいるが、このお店ならその心配は必要ない。また、店の前の駐車スペースに空きがあることも散髪が可能なことを表しているようだ。


「創業 1918」と書かれた看板

 この理容所に来店したら、店の中に入る前に看板の方に注目して欲しい。そこには「創業 1918」の文字。創業100年もの長い歴史があるのだ。それも、この理容所の特徴と言えるだろう。長い歴史に加え、東京など各地で修行を積んだ、4代目紀昭さんの腕なら、初めての来店でも、安心して散髪してもらうことができるはずだ。

受け継がれる店名

日々の仕事に欠かせないハサミ


震災から10年。早かったような、長かったような

 東日本大震災の大津波により、店舗兼住宅は全壊した。避難所ではボランティアとしてハサミを持ったそうだ。震災翌年の4月、仮設店舗にて営業を開始。そこでも以前と同じようにお客さんが来てくれた。そして、約7年間、仮設店舗での営業を続け、ようやく2020年6月18日、中心市街地に店を建て、本設での営業開始に漕ぎ着けた。震災からまもなく10年が経つ。そのことへの思いを聞くと、「早かったような、長かったような・・・。知り合いがいなくなったことを思うと、昨日のことのようだが、10年という数字を聞くと長かったように感じる」と話した。


陸前高田市とともに

 震災後、かさ上げなど、復興に携わる工事関係の人たちが来てくれたのは嬉しかったそうだ。しかし、工事も終わりに近づいている。また、年配者が多い町なのに加え、高校卒業を機に多くの若者が町を離れていくことに懸念を抱いていた。ただ、これは町全体の課題でもある。そのため、本当のまちづくりはこれからであり、明るい町へと発展させていくには、まず、人々の明るさが必要だ。だからこそ、人々を清々しい気持ちにさせる理容所は大きな役割を果たすだろう。100年以上も長く続き、そして、震災という大きな苦難を乗り越えた柳下理容所のサインポールはこれからもずっと回り続けるだろう。

店の外観。店先には綺麗に花のプランターが置かれている


インタビュー先

店名:柳下(ヤナシタ)理容所

所在地:〒029-2205 岩手県陸前高田市高田町字森の前28-10

定休日:月曜日全休、第一月曜日の翌日、第三日曜日

営業時間:9:00~18:00

電話番号:0192-54-3241

料金:カット3,500円(※顔剃り、洗髪含む)

駐車スペース:約3台

取材相手の氏名:柳下 紀昭 さん

インタビュー実施日:2020年9月22日(火)


インタビューアーの自己紹介

岩手県立大学 1年 堀切友裕

 インタビュー先の店主である柳下さんは、とても気さくな方で、インタビューをしていて楽しかった。気さくな柳下さんに、楽しく会話をしながら散髪をしてもらえることも、このお店の魅力かもしれない。今回のプロジェクトで、陸前高田の全てを知ることができたわけではないが、これからも陸前高田を応援していきたいと思った。また、貢献できることがあったら積極的に貢献していきたい。

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