陸前高田市観光物産協会
ぜひ一度訪れて、まちを感じて、交流してほしい
情報発信の新しい拠点
陸前高田市観光物産協会は、中心市街地にある「まちの縁側」という複合型コミュニティー施設内にあり、他にも市の社会福祉協議会や、地元NPOの子育て支援拠点「きらりんきっず」、障がい者就労団体が運営する「はぴなろカフェ」なども入居している。
この施設は国立競技場の設計に携わった隈研吾氏が設計しており、気仙大工の伝統工法「せがい造り」が採用され、木がふんだんに使われていてとても温かみのある雰囲気だ。床にも貝殻が埋め込まれていて海を感じられる。建物を一目見ようと訪れる人も多いとのことだ。
震災当時の状況
観光物産協会は震災前、海にほど近い道の駅 高田松原(通称 タピック45)内にあった。
生活の再建が最優先だったため観光業務の再開は2013年~と比較的遅かった。観光客が現地に来る前に情報を得られるように、ウェブ発信に注力していたそうだ。一方で、地元住民が「語り部ガイド」として震災の体験を伝える活動は2012年から始まった。インタビュー中にも、この施設の屋上の展望デッキで修学旅行生がガイドから説明を受けていた。
魅力は「震災・復興の発信地」だけじゃない
陸前高田と聞くと、まず思い浮かぶのが震災関連のことだろう。この町を訪れる人の多くは震災を学ぶことが主な目的であり、市でも震災・防災・復興の情報発信地としてさまざまな施設整備や取り組みが行われている。
しかし、陸前高田にはもう一つの大きな魅力がある。それは「海・山・川」だ。この3つの魅力をいっぺんに味わえる。ちなみに、山や川があり、そこから植物プランクトンなどの豊富な栄養分が海に流れ込んでくることで、カキが美味しく育つのだそうだ。
「何もない町」から「被災地」、そして「持続可能な町」へ
震災前は「何もない町」で高田松原の海水浴場を除いて観光がそれほど盛んではなかったそうだ。しかし、震災をきっかけに「被災地」として注目を受け、震災前にはなかった大規模施設が建設されるなど、元の姿に戻るだけでなく新たな風が吹き込んできている。それにより大きなイベントを開催できるようになったが、いい面ばかりではないという。例えばイベントで訪れる人数に比べて市の宿泊施設の定員が非常に少なく、観光客が他の市町村へと流れてしまう。このように、受け皿が限られているこの市では新規の観光客を集め続けることは開催費用などが逆に高くなったり、一度だけでは経済効果が持続しない。そのため、協会ではリピーターを生み出すことに注力している。一度だけある程度のお金を使ってもらうのではなく生涯にいくら使ってもらうか=持続可能であることが陸前高田市の今後の発展のカギとなる。
「人こそが唯一無二の差別化コンテンツ」
協会ではたかたコンテンツらぼという取り組みを行っており、「陸前高田の魅力を発信したい!盛り上げたい!」という志を持った人々が集まっている。現在移住者が増えており、新しい視点や幅広い得意分野・趣味を持つ人が地域に入ってきている。このたかたコンテンツらぼでは、もともとの住民・移住者などは関係なく「とにかく楽しいことをしよう!&仲間を見つけよう!」をモットーに活発な意見交換が行われている。「住民と移住者が仲良くなれるきっかけを作ろう!」と狙ってやると逆にうまくいかないのだとか。
お金で決して買うことができず、その地域の特長を理解し、そこでしかできない体験を生み出せるのは人だけだ。この「人の力」を活用し、観光を通して観光客・受け入れ側の双方が幸せになることが協会の目標だ。
インタビュー先
店名: 一般社団法人 陸前高田市観光物産協会
所在地:〒029-2205 岩手県陸前高田市高田町字館の沖111 陸前高田アムウェイハウス まちの縁側内
営業時間:8:30~17:30(年末年始は除く)(受付案内時間)
電話番号:0192-54-5011
FAX:0192-54-5013
メール:rikutaka-kankou@crest.ocn.ne.jp
URL:https://takanavi.org/ (高田旅ナビ)
取材相手の氏名: 桒久保 博夫(くわくぼ ひろお)さん
インタビュー実施日:2020年9月24日(木)
インタビュアーの自己紹介
岩手県立大学 1年 藤原仁菜
今回の研修で、自分が今まで「被災地」「被災者」と大きな枠でしか見ていなかったことを実感しました。実際に訪れたことで、被害の状況や町が変わっていく様子を感じて自分自身もまちづくりを考えたり、町の人と交流できたことで、一人一人が異なったドラマや思いを持っているのだと気づかされた大変貴重な経験になりました。今後は私自身が陸前高田のリピーターとなって盛り上げていきたいです!
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