花カフェ
今を精一杯生きたい。
花咲くカフェ
南欧風の建物の前にはたくさんのバラが咲きほこる。
「お花をたくさん植えてお客さんに楽しんでもらいたい。」そう話すのは、陸前高田市出身の戸羽紀美子さんだ。甲府で営んでいたカフェで使用していたイギリス製の食器は、紀美子さんの趣味で集めたものだという。外装、内装ともに凝っていて、かわいらしい雰囲気のお店である。花カフェという店名は、紀美子さんのお母様が生け花教室を開いていたことからつけられた。
こだわりの石窯ピザ
店のイタリア風ピザは、夫の斉さんが石窯で1分30秒という短時間に高温で焼き上げるのでふっくら、もっちりと仕上がっている。名物は、春に出るシラスや春菊、モッツァレラチーズを使用した花カフェピザ。取材時は季節外れのため、ハーブチキンバジルソースのピザが出ていた。旬の時期にぜひ楽しみたい。
花カフェのピザはマルゲリータ、ハーブチキンバジルソースのピザ、生ハムピザ、明太子ピザの4種類あった。どれももっちりした生地に、トマトソースの酸味とそれぞれの具材の触感や風味がたまらない。
地元の材料をできるだけ使うというこだわりもあり、陸前高田市に来たらぜひ食べてほしいピザとなっている。
私たちは取材で4種類のピザをいただいたが、あっという間になくなってしまった。イタリア風ピザのため、デリバリーのアメリカ風ピザのように生地が分厚くない。そのため、女性でも一枚はぺろりとたいらげてしまう。
出店の経緯
もともと甲府で暮らしていたお二人。実家が陸前高田市にあったため、先代からの土地を大切にしたいという思いで出店を決意した。
同時に東日本大震災により被災した陸前高田市の復興のためにカフェを出店することを決意したという。しかし、そこまでの道のりは険しいものだった。普通のカフェではなく、もっとインパクトのある店の企画を模索し続ける中、故郷に通う途中のパーキングエリアの移動石窯ピザ屋で食べたピザのおいしさに感動し、ピザをメインとしたカフェにすることを決めたという。
お二人の出会い
戸羽さんご夫妻は、もともと大船渡の中学の同級生だった。紀美子さんは父の転勤で山形に移住後、東京に住むようになった。当時、中学のご友人と3人で会ったことが出会いのきっかけだったという。友人は2人のキューピットだったのかもしれない…
震災当時の状況
震災当時、紀美子さんはお父様の看病のために甲府から陸前高田市に来ていた。夫の斉さんはその時仕事で甲府にいた。被災時、高台に避難する人も多い中、紀美子さんは平地にいた。お母さまをお父様のいる病院から迎えに行くためだった。地割れや信号の停電を見て、空き地に避難した。建物に津波が当たってしぶきが飛んでいるのが見えたとき、津波がそこまで来ているとわかった。必死で母の手を引いて山をよじ登り高台へ避難した。そこで見たのは、先ほど自分たちがいた空き地がすでに津波に飲み込まれているところだった。
「精一杯生きる」
震災を通して地震と津波により、2回の死を予感した紀美子さん。震災から、後悔の無いよう、命を大切にして生きようと思うようになった。「今を精一杯生きたい。」紀美子さんはそう言う。
今後の目標
コロナ終息後は、昼の営業だけではなく夜の営業にも力を入れたい。おつまみやお酒を充実させ、人々の憩いの場になればそれが陸前高田市の復興につながるだろう。
さらに紀美子さんは、若い世代に来てもらい、活気のある街にしたいという思いを語ってくれた。
インタビュー先
店名:花カフェ
所在地:〒029-2205 岩手県陸前高田市高田町字馬場26-1
定休日:月曜日
営業時間:11:00~22:30(ラストオーダー 19:00)19:00~22:30は要予約
電話番号:0192-47-5670
取材相手の氏名:戸羽 紀美子 さん
インタビュー実施日:2020年9月23日(水)
インタビューアーの自己紹介
岩手県立大学 1年 角田帆乃香
私は今回、初めて陸前高田を訪れた。そこで感じたのは、被災時からの復興には多くの人々の努力が必要不可欠であったということだ。インタビュー先の事業所の皆さんの思いや当時の状況を聞くたびに胸が痛み、また勇気づけられた。戸羽さんの、陸前高田市の復興に貢献したいという思いで行動したことを聞いた際も胸が熱くなった。
この記事を読んでいる方にも是非、陸前高田市を訪れてほしい。
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