呑み処十五番

震災を乗り越えて進化した呑み処十五番

カウンターに立つ萩島さん

居酒屋十五番の外装


ようこそ居酒屋十五番へ

 アバッセから徒歩数分の所にある呑み処十五番は2018年9月に待望の新店舗をOPEN。ここ、呑み処十五番は他の居酒屋と一味違う。陸前高田では数少ない個室カラオケ付きの居酒屋だ。陸前高田にはカラオケを気軽に楽しめる店はスナックしかなかったため、陸前高田の人達が気軽に歌える場所を作ろうというご主人の温かい思いからできた居酒屋の進化形だ。白色のシンプルな外装の窓から店内の明かりが漏れる風情ある建物の中は、旧店舗の時から人気のあったカウンター席とカラオケが完備された4つの個室がある。家族と、友達と、同僚と、そして大の阪神ファンの萩島さんご夫婦との温かなひとときをご堪能あれ。

阪神ファンの萩島さんご夫婦の趣味があふれる廊下


お食事メニュー

 人気の料理は震災前から愛されるカツカレー!家族連れのお客さんの晩御飯にはもちろん、飲みの締めにも大人気である。新店舗から新しくメニューに加わった串揚げはサクサクの衣に包まれた具材が口の中で味わいが広がるたまらない逸品だ。阪神ファンのおふたりが以前甲子園の近くの店で食べた串揚げに感銘を受け、メニューに加えた思い出も詰まったメニューだ。個人的におすすめしたいのは磯辺もちだ。運ばれてきた時から漂う香ばしい醤油の香りが食欲をそそる。焼き加減が絶妙な磯辺もちは餅がこれでもかと伸び、パリパリとした焦げも口の中で醤油と海苔の風味と合わさって踊る。奥さんの作る美味しい料理はテイクアウトも可能だ。お家でも昔から変わらないカツカレーや新メニューの串揚げなどなど味わってはいかがだろうか。もちろん、飲み放題、歌い放題のお得なプランもご用意!美味しい料理とお酒、皆で集う賑やかな時間。時間が経つのも忘れるほどの楽しいひとときを是非呑み処十五番で。

テイクアウトのカツカレー

磯辺もち

揚げ


震災を乗り越えて

 逃げても、逃げても迫ってくる津波に恐怖が尽きなかった。体育館での避難生活ではカーテンを毛布代わりにして寒さをしのいだ。トイレは穴を掘って作ったものだったと言う。先が見えない不安を抱えて過ごす日々はとても辛かったと語ってくださった。他の地域に引っ越そうとは思わなかったのか尋ねると、「体育館生活は過酷で、仮設住宅も狭いし寒いし壁は薄いし、決して快適な場所ではなかったけれど、子供達のふるさとである陸前高田から出ることは考えなかった」と話してくださった。


今を語る

 東日本大震災が陸前高田を襲い、街は瓦礫の山と化し先の見えない日々が続いた。それでもお店の営業を再開すると多くの人が足を運び、店内は笑顔で満ちあふれ、復興の兆しを感じることができた。やっと新たな日常を取り戻しつつあった陸前高田だったが、新型コロナウイルスの流行という厄災に見舞われている。「コロナ前はあんなに活気のあった店も今では団体のお客様は減り、予約も減ってしまった。いつこのコロナが収束するのか見当もつなかい。先が全く見えない今が一番苦しい。」と萩島さんは語った。震災を乗り越えた陸前高田にまた新たな試練が襲いかかる。地域の集いの場であるこの店を守り続けたい、コロナに負けずに頑張りたい。萩島さんご夫婦の強い思いが今日も陸前高田の集いの場を支えている。


インタビュー先

店名:呑み処十五番

所在地:〒029-2205 岩手県陸前高田市高田町大町KC-27

定休日:不定休

営業時間:月~木・日 17:00~24:00(L.O.23:00) 祝前日 17:00~25:00(L.O.24:00)

電話番号: 0192-55-2555

取材相手の氏名:萩島 剛寿 さん

インタビュー実施日:2020年9月23日(水)


インタビュアーの自己紹介

岩手大学 1年 阪本実菜

 初めて被災地に足を運んだ。テレビ越しでしか見たことのなかった被災地だったが、10年経った今でもその爪痕を感じた。津波伝承館で目にした1枚の写真が今でも私の脳裏に焼き付いている。それは自分の無事と家族の無事を願う無数の張り紙が壁を覆い尽くす写真だ。「息子へ、母は無事です。どこにいますか。」そんなメッセージからはテクノロジーが発達した現社会でさえも自然災害の前には人は無力であることを知らしめる。陸前高田は綺麗で新しい店が並ぶが、その背景には震災を乗り越えようとする人々の努力と地元愛が秘められている。

 この記事を読んだ人が少しでも陸前高田に興味を持ち、陸前高田を訪れてみようかと思っていただければ嬉しい。地元愛あふれる陸前高田の人々はきっと優しい笑顔であなたを歓迎してくれる。是非一度陸前高田に足を運んで欲しい。

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