味と人情のつるかめ鮨

1日でも多く、暖簾を出し続けたい

店主の阿部和明さん

■味と人情の温かさを感じる場所

 暖簾をくぐると店主の阿部和明さんの朗らかな笑顔に出迎えられる。ここは、味と人情のつるかめ鮨。37年の歴史を持つ寿司屋だ。お店の名前には、店主の特別な思いが込められているそうだ。

■お店の名前に込められた思い

 あの東日本大震災を経験し、多くの方から温かい支援を受けた。また、日々お客様との”絆”や”つながり”の大切さをしみじみと感じている。だからこそ、多くの支援を下さった方々やお客様への感謝の気持ちを”味と人情”のつるかめ鮨という名前に込めたそうだ。

■心揺さぶられるおもてなし

 このお店の雰囲気に私たちが魅了されるのには、どうやら店主に秘密が隠されているようだ。それは、なんといっても、新鮮で美味しいお寿司に花を添える店主のトークである。時には、震災の経験を話してくれる語り部としての役割も務めてくれる。


店主が握る心こもった新鮮なお寿司
(上から特上・上・並である。)

特上 ¥3000(消費税別)

上 ¥2000(消費税別)

並 ¥1000(消費税別)


 また、お客様にとって心地いい場所にするために施された店主の仕掛けには感心させられた。例えば、つるかめ鮨の名物でもある”愛のナイアガラ”。これは、お客さんと写真を撮る際に色鮮やかな紙テープで装飾を施すものである。このような楽しい仕掛けには、思わず子供時代に帰ったような感覚にさせられ、心揺さぶられた。おそらく、訪れたらお寿司と明るい店主のトークと仕掛けに、お腹も心も満たされるだろう。

■震災を経験して

 震災当時の話について、語ってくれた。明るい笑顔が絶えない店主も、震災の話をする表情から険しさが感じられた。
 震災前に営んでいたお店と自宅は、津波で失った。震災を経験して一言では語りつくせないほどの苦労を味わったそうだ。それでも、仮設店舗で営業再開という道のりを越えて現在、中心市街地で4軒目の再建を果たした。再建に至るまでの過程で、”多くの支援や人とのつながり”があったからこそ、今があると語ってくれた。

仮設店舗で営んでいた時のつるかめ鮨


■ようやくここまできた

 店主は、お客様から「いつも明るいね」と言われるくらい本当に気さくな方である。一方で、震災を経験して、眠れない日々が続くほどの苦労を抱えてきた方でもある。だが、中心市街地にお店を再開してからは、少しずつではあるがお店は落ち着きの色を取り戻してきたそうだ。また、店主自身も「ようやくここまできた」と感じている。そして、何よりも日々お客さんと触れることで、活気を感じたり仕事に対するやりがいを身に染みて感じたりするそうだ。

■1日でも多く暖簾を出し続けたい

 中心市街地に移転してきたばかりで、ようやくスタートを切ることができた今。店主の将来に対する懸念は拭いきれないかもしれないが、「前に進むしかない」と語ってくれた。だからこそ、「1日でも多く暖簾を出すことが成功ではないか」と将来への前向きな見解を示してくれた。今日も、店主はお店に暖簾を出し続ける。そして、温かい笑顔でお客様を待っている。皆さんも、気軽にお越し頂いてこの味と人情のつるかめ鮨を味わって欲しい。

              
つるかめ鮨名物の”愛のナイアガラ”
中心市街地で再開をした現在の店舗の前で撮影


インタビュー先
店名:味と人情のつるかめ鮨
○定休日:火曜日
○営業時間:11:30~14:30/
        17:00~21:30
○電話番号:0192-54-2998
○インタビューに応じてくださった方:阿部 和明 様
○インタビュー実施日:2018年9月19日(水)


インタビューアーの自己紹介
岩手県立大学 1年 山田芽生
 今回、陸前高田に訪れて、町の人や空気に直接触れることで多くの学びを得ることができた。取材先の皆さんが懸命に頑張る姿には、心動かされた。そのことが、私の中で陸前高田を応援したいという気持ちに拍車をかけた。取材グループのメンバーで撮った”愛のナイアガラ”は、特に印象深い。そして、店主の明るいトークには、思わずこちらも勇気づけられた。
 皆さんも、ブログを読んだことをきっかけにぜひ、一度、陸前高田に訪れて欲しい。









                                                            

 

                                                                                                          


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