ひころいちファーム
生き残ったからには何かやらなければ
〜お米で勝負!故郷を守るための挑戦〜
米粉パスタスナックを揚げたてで提供中
ひころいちファームは陸前高田に工場と販売店を構えている。中心市街地のチャレンジショップでは、揚げたての米粉パスタスナックを味わうことができる。私が訪れた際には、塩、コンソメ、牡蠣、ニラ南蛮、かぼちゃといったフレーバーが用意されていた。私個人としては、かぼちゃの甘みが広がるかぼちゃ味の米粉スナックがお気に入り。
また12:00~16:00の間は工場から揚げたての商品がチャレンジショップへ届けられる。揚げたての米粉パスタスナックは香ばしく、パリパリの触感を楽しむことができる。さらにチャレンジショップでは試作品のテスト販売も行っているとのこと。季節によって大豆を使わない、きな粉味やこんぶ味などユニークな味に出会うことができるかもしれませんよ。
震災当時の状況
現在は、力強く商品を売り出している代表の村上さんだが、震災では大きな被害を受けていた。津波が耳をかすめるほどギリギリの避難になったそうだ。だが村上さんや奥さん、お子さんは何とか近くの竹やぶに逃げ大事に至ることはなかった。「まさに九死に一生を得た」と村上さんは語った。自宅や畑は流され跡形もなくなり、物理的にも精神的にも大きな傷を負ってしまった。このような厳しい状況の中、なぜ陸前高田で事業を始めることができたのか、私は疑問をぶつけた。「不安や焦りにさいなまれる中、そんな中で生きてがんばらなければならない気持ち。あんな思いして生き残ったんだから、なにか理由があるんじゃないか。自分もなにかしなければ。」このような思いがあったから。そして多くの支援を受け、震災の前から考えてきた6次産業化を実現させた。
三陸らしいブランド作り
震災を乗り越え、作られた米粉パスタ。「米粉パスタ」の名前は、買い手に調理方法がわかりやすいようにと命名された。米粉麺として売り出した際、どのように食べるのかといった質問が多かったようだ。自分の店で出す分には説明ができるが、商品のみを置いての販売になると手に取ってもらえる機会は少なくなってしまう。名前から食べ方を限定することにより注目度のみならず、買い求めてもらえるようになったそう。そのような声を反映しながら、美味しさ、三陸らしさ、陸前高田らしさを追究した結果「米粉パスタスナック」の商品開発に成功し、各種商品も岩手県ふるさと食品コンクールやJAいわてグループ6次産業化アワードなどで多くの賞を受賞するなど、常に進化し続けている。
これからの陸前高田
陸前高田は震災の暗いイメージがついてしまっている。しかし、本当は海が近くおいしいものを食べることできる豊かな場所である。気候的にも夏は涼しく、冬は暖かで過ごしやすい。「交通の便が悪いのが課題ではあるが、地域性のあるお祭りや外からくる人を受け入れてくれるコミュニティーなどアピールポイントはたくさんある。」と語っていた。実際に震災後に陸前高田でお店を始めたという人を多く見かける。
まだ震災の傷跡は残っている。だが、私が思っていた以上に、陸前高田の人たちは震災のあった地域としてではなく、一つの地域として地域づくりに取り組んでいるようだ。「若者にはこの魅力に気づいて、陸前高田市に集まってほしい。」この思いを抱え、村上さんはおいしい米粉パスタスナックを提供し続けている。
インタビュー先
店名:ひころいちファーム
所在地:(工場)岩手県陸前高田市米崎町字道の上69
(店舗)岩手県陸前高田市高田町字荒町33番地(チャレンジショップ内)
定休日:土日、祝日(土曜日は開店していることもある)
営業時間:10:00~17:00 揚げたての米粉スナックは12:00~16:00
電話番号:0192-47-3991
FAX:0192-47-3996
URL:https://www.hikoroichi-farm.com/
取材相手の氏名:村上 一憲 さん
インタビュー実施日:2020年9月23日(水)
インタビューアーの自己紹介
岩手大学 一年 元村弥佑
私の中では震災のイメージが残る陸前高田。今回この地を訪れ感じたのは多くの人が前へ前へと進もうとし、着実に歩みを進めているということであった。「ひころいちファーム」の村上一憲さんが常に進化することを考えて、お店の運営や商品開発に取り組む姿は、そのことを強く感じさせた。情熱を注いで作られた米粉パスタスナックのパリパリの触感が忘れられない。揚げたてを食べられるのは陸前高田のチャレンジショップだけ。皆さんぜひ訪れてみてほしい。
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