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4月, 2020の投稿を表示しています

ものづくりカフェ「アトリエまぁむ」

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この地域には ネットワークが大切 代表理事の荻原さん(左)と講師の徳山さん(右)  私は最初『ものづくりカフェ「アトリエまぁむ」』と聞いて、どんなことをしているのか、どんなお店なのかがわからなかった。今の時代、検索をかければ大体のことはわかるのではないかと思い、ネットで検索してみたが、全くヒットしなかったため、謎は深まるばかりだった。  このカフェは、陸前高田市が起業者向けに整備した「チャレンジショップ」という、ちょっとした商店街のような場所にある。店内は手前に手芸品の販売店、奥に手芸品を作るスペースという造りになっている。今回インタビューに答えていただいたのは荻原直子さん。荻原さんは、このカフェの経営に携わっている「特定非営利活動法人 まぁむたかた」の代表理事を務めている方だ。とてもハキハキとして、人を惹きつけるような力を随所に感じた。 地域について知ることの大切さ 取材に答えてくださっている荻原さん  荻原さんは震災当時、銀行員として店舗で勤務中だった。地震が起こってすぐ、店長が「津波が来る、避難しろ」と言ったため、指定されていた中央公園(市民会館)ではなく、市立高田第一中学校に避難したという。銀行の隣には郵便局があったが、そちらは外回りしている局員が不安だからと避難しなかったらしい。しかし、それが命取りとなってしまった。  震災後、本人確認書類が流されたり、ATMが使えなくなり、顧客がお金をおろせなくなってしまった。そんな中、従業員は、顧客の顔を覚えているかどうかで、預金の引き出しに応じたという。そうした日々を過ごすうち、様々な不安を抱いている地域住民とコミュニケーションをとりたいが、 銀行の窓口では 難しいと感じ、他の方法を模索するようになった。 リメイクを通じて新たな命を吹き込む 今(9/11現在)制作中のぱっくんポーチ 店舗部分の様子 そんな荻原さんが辿り着いたのは、ものづくりだ。当時仮設住宅では、ボランティアの方々が、支援でいただいた着物の生地を使ってリメイクする方法を教えていた。そこに目を付け、地元の女性たちにスキルアップを促して、支援に新たな命を吹き込むことで恩返しをし、生きがいにしてもらおうと考えた。最初は、作ったものを周辺の人々に無料で配っていたが、今後の生活も

小谷園茶舗

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『お茶』一筋 店主の小谷隆一さん 高田の風土と水に合うお茶を  店に足を踏み入れると、ご主人である小谷隆一さんと奥さんが温かく迎えてくれる。  小谷さんで3代目となるお店は、長きに渡って地元の住人に愛されてきた。ここでは、高田の風土と水に合わせて、代々、静岡県掛川のお茶を専門に、急須や湯飲みなどの関連商品も扱っている。お茶は、そのまま売るだけでなく、掛川以外の産地のお茶をブレンドして販売し、昔からの味を受け継いでいるそうだ。 お茶と関連商品の陳列棚 大好評!抹茶入り玄米茶と気さくな店主  取り扱っているお茶の種類は豊富で、中でも、500円の買い求めやすい煎茶とこだわりの深い煎茶『利久』が人気だという。特に評判が良いのは、静岡のお茶に京都の宇治抹茶をブレンドした抹茶入り玄米茶だ。この商品は、その味わいの深さと手頃な値段から根強い人気を集めている。  また、魅力的なのは、お店自慢のお茶を味わいながら気さくな店主との会話に花を咲かせることができる点だ。お店に立ち寄った際には、こだわりのお茶と店主の温かい人柄で、喉も心も満たされる違いない。 おもてなしのお茶 生死を分けた数分  防災無線が故障したことや震災の2日前の大きな地震で津波が来なかったこともあり、近所を始め多くの住人が逃げ遅れたという。家族と避難した小谷さんも「あと数分遅ければ…」と、当時を振り返っていた。まだ冬の寒さが残っていた震災当時、避難先の火葬場では、お菓子や地下水の共有など避難者同士の助け合いで難を免れたという。小谷さんは、そこでおよそ10日間を過ごした。 アルバムを開いてインタビューに答える小谷さん 「仮設で終わるわけにはいかない」  震災で店舗に甚大な被害を受けた小谷さんは、補助金などの国の支援が後押しとなり、3軒の仮設店舗を転々としながら、再び本設の店舗を構えることに成功した。「昔のようにやれるうちはやっていきたい」、「仮設で終わるわけにはいかない」という小谷さんの強い意志が、その背景には存在していた。当時、2、3年で元に戻るだろうと考えられていたが、結果的に、地権者との交渉が難航したことやかさ上げ工事の影響によって、現在の店舗が完成するまでに約8年もの時間がかかってしまった。8年という時間は、高田での商売を

ネイルサロン

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チャレンジ! 店主の津田千亜希さん 街のネイルサロン  中心市街地の一角に小さなネイルサロンがある。店内に入ると、明るい店主の津田千亜希さんが出迎えてくれる。お店の雰囲気も明るく、気軽に入れるお店だ。店内では、服やアクセサリーなど様々なものも販売されている。 お店の外観 安心できるお店  津田さんがモットーとしているのは、アレルギーの人でも安心して楽しめるジェルネイルだ。ジェルネイルの特徴は、持ちが良く3~4週間持つという点だ。津田さんが仕上げるネイルは、とても綺麗で常連さんもいる。 作業中の津田さん 人気のネイル  人気のコースは、4000~5000円のシンプルなデザインのコースだという。  完全予約制なので時間を気にすることなく、津田さんとの会話を楽しみながら仕上がりを待つことができる。 仕上がったネイル 出店にあたり… 仮設のプレハブ店舗で営業していたとき ~長部漁港近くにあった~  津田さんが中心市街地に出店するには、多くの苦労があったそうだ。しかし、周りのお店の人たちが協力して助けてくれたとおっしゃっていた。私は、支えあう大切さを感じた。そのほかにも、クラウドファンディングでの資金集めや地道なポスティング作業が大変だったそうだ。  このネイルサロンは、陸前高田市商工会議所の隣にあるチャレンジショップの中にある。チャレンジショップとは、陸前高田市が起業者支援のために整備した施設だ。 お店では、津田さんがおすすめする商品も販売している 地元で店を開きたい!  津田さんは将来、かわいいお店を陸前高田に出店したいという思いを持っている。そして、自分の技術を教えて人を育てていきたいとおっしゃっていた。 なんでもできる!  津田さんは若い世代に向けて、「何かやりたいと思ったら、勇気をもって起業してほしい。」とおっしゃっている。これを聞いて私も、与えられた貴重な大学生活を有意義なものにしようと思った。  皆さんもこっそり綺麗になってみませんか?  ぜひ、足を運んでみてください! インタビュー先 ▷店名:ネイルサロン L'ecrin ▷店主:津田千亜希さん ▷連絡先:080-9332-3198 ▷住所

磯ヤ海産

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お客さんは家族 二 代目店主の佐々木伸一さん ■三陸のうまさをお届けします!  わかめ、こんぶ、のりなど三陸の海産物の加工・販売を行っている『磯ヤ海産』。お店の自慢は、やっぱり三陸産の海産物!!  特に焼のりにはこだわっており、自分の舌で確かめて一番おいしいものしか置いていない、と言う。そのまま食べてももちろんおいしいが、おすすめの食べ方は、少しあぶって、マヨネーズと醤油と一味をつけて食べること。実際に食べてみると、のりの香ばしい香りが漂い、くせになる味で手が止まらない!  お酒のおつまみにも最高だ(笑)  「どこでも似たような商品はあるけれど、私はあなたを買っているのです!」。そうお客さんに思ってもらうための秘訣は、お客さんを家族だと思って商売すること。まるで本当の家族に会うときみたいに交流していた。そして、配達に行くと「待ってたよ、よく来たね」、と可愛がられていたそうだ。家族に売るように、美味しくないものは美味しくないと言う「嘘のない商売」をすることが地元に愛される秘訣だと。 店頭には自慢の海産物が並ぶ わかめ、焼のり、ひじきなど品揃えが豊富 爆弾を抱えて海に飛び込みたい  あの時は、工場を建てたばかりだった。海から400mの所だった。業者の人は、自然災害じゃ絶対壊れないと言っていた。しかし、助かった人は、4階にいても胸まで水に浸かる波の高さだったという。実際の数値や具体的にここまで波がきたという話を聞くと、津波の恐ろしさを改めて実感する。佐々木さん自身も妻、娘、息子の家族3人を亡くし、生き残れたのは自分一人だった。「なぜ自分だけ・・・」。爆弾を抱えて海に飛び込みたい気持ちだった、と語る。生きても、これほど辛い思いをするしかなかった。 中心市街地に出店するまで  震災後しばらくは友人の家に暮らしていた。その友人とは、現在のテナントを提供してくれた村上さんだ。村上さんからも、お話を聞けた。「長い間、彼の面倒をみてしまった。彼は一人だ。もうこうなったら、最後まで責任持って助けてやらないと」。  私は、こんなにも他人(ひと)のことを想い、責任を持つ決意をした人物を見たのは初めてだ。お互いを深く理解しているからこそできることなのだろう。「持つべきものは友」、という言葉に納得した瞬間だった。  佐々

エビだしラーメン こんの屋

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やりたいことを自分の思うように チャレンジショップ1号店 海老だしラーメンこんの屋  「エビだしラーメンこんの屋は」、陸前高田市が起業支援のために設けたチャレンジショップの1号店だ。  ここで店を営む紺野学さんに出店の経緯を聞いたところ、市役所で働く後輩から「店を開かないか」と連絡が来て、「やってみるか」と思い始めたのだという。  この店を始める前、紺野さんは、陸前高田市小友町でB-ROOMというショットバーを経営していた。エビだしラーメンはその店で評判が良く、この機会に販売してみようと決意したのだそうだ。 店長オススメ 海老だしラーメン  岩手県内でなかなか目にすることがないエビだしラーメンは、みそ味、塩味の2種類。その他に、とんこつラーメンも提供している。  紺野さんによると、テレビでエビだしラーメンを偶然見かけ、自分でも作れるのではないかとBARで売り出したのが始まりだそうだ。実際、BARでも人気は高かったと言う。  こんの屋を訪れるお客さんには、BARで働いていた時の常連さんが多い。でも、それ以外にも客層は広がり、男女問わず多くの人が訪れるようになってきた。(常連客はエビだしラーメンよりとんこつラーメンを食べる人が多いという) 震災から今まで  震災当時、紺野さんはBARで働いていた。  普段通り働いている最中、それは突然訪れた。逃げるかどうか迷っていた時、お客さんから「逃げた方がいい!」と連絡が届き、津波から逃れることができた。その後は、避難所にいるみんなで、食料をかき集めながら一日一日を過ごした。何が一番大変だったかを聞いたところ、電気がつかないことだった、との答え。  それから8年が経過し、復興も徐々に進んでいる。町の風景がどんどん変わっていく中、「陸前高田はまだまだだ」、と紺野さんは言った。人口が震災前より減っていることを心配しており、特に若者の地元離れが加速する中で、何とか若者が戻って来ないかと考えている。  また、遊び場になる施設がないことも挙げていた。実際、中心市街地に、大型商業施設が建っているが、若者の遊び場となる施設はないのが現状だ。こうした施設があれば、若者も陸前高田に留まり、外からも入ってくるようになるのでは、とおっしゃっていた。 そしてこれから  も

お菓子工房 彩果

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復活が使命 店主の黄川田仁さん 街のお菓子屋さん  中心市街地にお店を構える焼き菓子屋さん「お菓子工房 彩果」。お店に入ると、甘い香りが広がっている。お店には、多くの焼き菓子と黄川田さんオリジナルのお菓子が並んでいる。   このお店は、2019年7月26日にオープンした新しいお店だ。 多くの焼き菓子 1番人気のアップルジャーマンケーキ  私は、アップルジャーマンケーキという黄川田さんオリジナルのケーキをいただいた。ジャーマンケーキは、とてもおいしかった! このケーキは、スポンジを砕き、シロップと混ぜ合わせて固めたものだ。上には、リンゴがのっていて、アップルパイのようだった。 人気のジャーマンケーキ シャトー  震災前、陸前高田市の中心街にあった「清風堂」の人気商品だ。この味を求めてくるお客さんも多いとのこと。子供から大人まで全世代に絶大な人気を誇っている。 シャトー(取材日が定休日だったので、後で写真を提供していただきました。) 秘密のメニュー  ほかにも、週2日しか焼いていないというパンがあるそうだ。とても人気ですぐに売り切れてしまうとのことだ。私も食べてみたい! 11月発売予定の新商品! 試作品の「小枝の恵み」   私が取材に伺うと店主の黄川田さんは、発売前の新商品を見せてくださった。   特産の気仙小枝柿の干し柿をふんだんに使ったお菓子だ。柿が取れる期間だけの販売だという。ぜひ、多くの人に食べていただきたい。 出店にあたり  黄川田さんがお店を出店するにあたって苦労したのは、補助金の申請だったという。申請には多くの資料が必要で、どんな機械が何のために必要なのかを明記しなければならず、苦労したとのこと。   お店の外観 震災当時は  被災した黄川田さんは、少しのあいだ久慈市に避難した後、横浜にあるお菓子屋さんでしばらく修行をしていた。そうして、陸前高田市に戻ってきたという。そうしたら、「清風堂」の復活を望む声が多く上がっているのを知り、黄川田さんは、「清風堂」を復活させることが自分の使命だと感じたそうだ。 黄川田さんの思い  震災前、陸前高田市の中心街にあった「清風堂」。そこで黄川田さんは、働いていた。そのお店は、住民からとても愛さ

特定非営利活動法人 高田暮舎

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「陸前高田と人をつなぐ」 移住者が住みよい環境づくりを  特定非営利活動法人 高田暮舎(たかたくらししゃ)では「あなたに提案したい暮らし。」として、陸前高田市への「移住定住」を考える方を対象とした事業を行っている。  「移住者の支援」。陸前高田への移住を検討する方に「移住後の仕事案内」「移住者サポート」を行い、移住者がよりスムーズに高田での暮らしに馴染むことができるよう支援をしている。  次に、「空き家バンク」事業。高田にある空き家の「所有者」と「利用希望者」の間をつなぎ、物件取扱業者(登録している不動産・建設会社)に仲介してもらいながら空き家の売買・契約を行っている。  そして「情報発信」。住居の情報、移住者へのインタビュー、フェイスブックの投稿など。高田暮舎が運営する移住定住ポータルサイト「高田暮らし」にはこれらの情報が豊富に掲載されており、移住を考える際の参考になること間違いなしだ。  これらは、陸前高田市からの委託事業として行われています。 私たちも移住者の一人  今回お話をうかがったのは、高田暮舎で働く 松田道弘(まつだみちひろ)さん 田中大樹(たなかひろき)さん 山﨑風雅(やまざきふうが)さん の3名。   彼ら自身も震災後に外から陸前高田市へ移ってきた移住者である。  松田さんは岩手県遠野市出身で2019年4月に移住してきたばかり。ボランティアの活動で高田の仮設を訪れたことがあり、学生時代から興味のあった「まちづくり」に関わるため、地域おこし協力隊の活動に参加したいと考えていたそう。 移住者支援を担当する松田さん    田中さんは長崎県出身で、松田さんと同様2019年4月に陸前高田へ。岩手へ来ようと思ったきっかけは、友人の「復興期間10年を、『被災地』の10年ではなく『面白いことをやっている陸前高田』の10年にしたい」という言葉。その言葉の通り「わくわくする」高田をつくるため、陸前高田と人が関わる仕組みづくりを考えているところだそう。 空き家バンク事業を担当する田中さん    山﨑さんは神奈川県出身。大学2年生の時にNPOの活動で陸前高田を訪れたのがきっかけだが、引き続き陸前高田にいたいと思い、高田暮舎のスタッフとして活動することにした。移住の決め手は、一次産業に興味があったことと、神奈

アート美容室高田店

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誠心誠意、お客様に応える 今回取材に答えてくださった中畑さん  アート美容室高田店は、震災後すぐに営業再開した西和野店と米崎店が一緒になり、2019年6月1日に新店舗オープン。中心市街地ではいわゆる新参者だが、震災前から約40年続く街で親しまれているお店だ。外観はレンガ調となっていて、外から見ると正直少し狭いようにも感じたが、お店に入ってみると想像以上に広くシンプルなデザインの店内で、来る人を選ばない明るく、入りやすい雰囲気だ。今回インタビューに協力してくださった中畑人美さんはとても明るく笑顔が素敵な方だった。 生死を分ける選択  中畑さんは震災発生当時、県立高田高校付近のアート美容室の店舗で勤務中だった。地震が発生した時は、とにかくお客様を守ることを優先し、棚の小物などの落下物からお客様を守るために覆いかぶさっていたという。  当時、お店には従業員2名と、目が少し不自由なお客様お1人がいた。従業員2名は、自宅のある大船渡に帰らなければと三陸道へ、お客様は、中畑さんの送迎を断り家のある方向の県立高田高校に避難したという。もし、震災時、お客様を送迎していたら2人とも亡くなっていたかもしれない、とおっしゃった。 中心街ではここだけのサービス まつエク(左)と脱毛(右)を行うお部屋  アート美容室高田店では、カット、カラー、パーマ、セットなどの一般的なメニューの他に着付け、まつげエクステ、脱毛も行なっている。脱毛は、陸前高田の中心街周辺ではここだけだという。今回、着付け、まつげエクステ、脱毛を行うお部屋も見せていただいたが、冒頭でも書いたように、外観からは想像できないゆったりとしたスペースが確保されていた。ちゃんと仕切りが設置されていて、周囲を気にすることなく着付けや施術を受けることができる。 サービス精神旺盛 どちらも従業員さんの手作りの髪飾り  着付けと聞くと、成人式や七五三の着物とか袴を想像してしまうが、ここでは浴衣の着付けも行なっているうえ、衣装の貸し出しもあるという。加えて、撮影室も完備しており、成人式の前撮り、七五三などの撮影ができ、まとめて冊子にしてもらえるそうだ。また、美容院などでよくあるシャンプー等の販売ばかりか、とっても可愛らしい髪飾り(従業員による手作り!)の販売、さらに

カキ小屋 広田湾

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「広田のカキ、食べでみらい」 カキ小屋 広田湾  商業施設や飲食店が並ぶ陸前高田の中心市街地に、新鮮なカキを食べることのできる店がある。「カキ小屋 広田湾」。  震災後、広田湾を眺めながらカキを食べられる場所として運営していた以前のカキ小屋だったが、防潮堤の建設により見える景色が変わってしまった。カキ小屋をやめようかと考えていたとき、知り合いに薦められたのがきっかけで現在の店舗に。  店のおすすめメニューは、お袋の味「カキの炊き込みごはん」「かき汁」がついた「カキ満喫御膳」。 カキ満喫御膳。蒸したての殻付き カキをナイフで開いていただく  「生ガキ」はふっくらと濃厚クリーミー。 岩 ガキ(小)324円。3年ものの岩ガキ(写真 岩がき)  「カキグラタン」や「海鮮丼」も人気だ。 カキの風味とホワイトソースが 絶妙のハーモニーを奏でる 本職はカキ漁師!  今回インタビューさせていただいたのは、カキ漁師の藤田敦(ふじた あつし)さん。今ではいかにも「海の人」という印象の藤田さんだが、以前は、朝、カキ養殖の作業を済ませてから家具屋の仕事に出向く暮らしをしていたらしい。   インタビューの途中で実際に船に乗せていただき、養殖のいかだを見せてもらえることになった。  海にはたくさんのいかだが浮かんでいて、その一つ一つを見ると、いかだに吊るされた紐にカキがびっしりとついている。2年ものと3年ものでは貝の大きさが全く異なり、さらにカキを太らせる行程を経たものは、より厚みが増していた。 カキについて説明する藤田さん  いかだが並ぶ広田湾の小友地域は、気仙川からの水と海水が混ざるプランクトン豊富な気水域で、おいしいカキが育つ。用途によって求められるカキの状態は様々だが、常に心がけているのは「よいカキを届ける」こと。殻付きのカキは出荷する際に中が見えず、買い手はカキの状態がわからないまま購入することになる。そんな関係だからこそ、「下手なものは出せない」と藤田さんは語る。 海が変わった  地震が起きた時、ちょうど海に出ようとしていたところだったが、引き返して消防団の活動を始めた。船はもちろん、作業場、加工場、いかだなど、全て流されてしまったが、津波が引いた後、消防団の活動中に自分の船を見つけた。