スタジオヒロシ
写真で喜んでもらいたい
写真に関するすべてのことを
スタジオヒロシ（店主：佐々木宏さん）は陸前高田の数少ない写真スタジオの一つである。写真に関することはできる限りお客様の要望に応えたいというのがこの写真スタジオの方針だ。例えば、お宮参りや七五三、入学、卒業などの記念写真のほかにも、デジカメ・スマートフォンで撮影した写真の現像や昔の写真の焼き増し、スマートフォンで撮影した動画をDVDへの編集、VHSからDVDへのダビングもおこなう。また、津波で汚れてしまった写真を綺麗にしてほしいという依頼も受けている。このような多岐にわたる要望に応えることができるのがこの店の自慢だ。
お客様は陸前高田の住民の方々。中には結婚式から毎年、その年の暮れに来店し、家族写真でカレンダーや年賀状を作成する方もいるという。最近、近くの公園で遊ぶ子供たちの姿をカメラに収め、それを差し上げることもあったらしい。元気に遊ぶ子供たちの写真は、以前に戻りつつある、戻ってほしい陸前高田の姿を「とどめたい」というお気持ちの表れとしてお話を伺った。その意味において地域の方々の心に寄り添った写真スタジオだと感じた。
ぬいぐるみやハロウィンの飾り、再流行した「写ルンです」が飾られている
震災当時の状況
佐々木さんは、震災前は高田町駅通りで写真店を営んでいた。しかし、東日本大震災の津波により、店は流されてしまった。地震発生時、佐々木さんは店におり、揺れで現像液が混合されないように対策をとったがどうしようもなく...、その後避難をし、寸前のところで助かった。その後、佐々木さんは仮設住宅に住むことになり、最近まで住んでいた。また、店舗がない時も写真店としての仕事をこなしていた。その際は周囲の人が設備などを様々な面で支援してくださったそうだ。そういった中、2011年12月には仮設店舗で店を再開することができた。
中心市街地に再建
今のスタジオは2020年7月末に完成したばかりである。周りのほかの店に比べて少し遅い復興だ。撮影の設備は市の方や釜石市のお知り合いからいただいたり、その他にも新しく購入した。土地は市に借りている。出店する上で、土地の借用や設備を整えるためには少なからぬ苦労があったという。
この場所に出店した理由は土地の広さ。裏には共同の駐車場があり、お客様が駐車できる。中心市街地ということもあり、客入りは良くなったという。白を基調とした店づくり、大きなショーウィンドウには、季節に応じたディスプレイ（訪問時はハロウィンをイメージ）が飾られ、また店頭には色とりどりの花が植えられ、親しみやすい、そして訪ねやすい印象を受けた。
佐々木さんは、まずここが活気のある町になってほしい、多くの人が町に集い、そしてぜひ店によってほしいと語っていた。
「印刷ではなく現像」
佐々木さんは「印刷でなく現像」と強調する。印刷よりも現像の方が画質が良く、色褪せにくい。撮影した写真を見せていただいたが、インクジェットやスマホに保存した写真とは違う、現像された写真独特の質感、色調の魅力を感じた。スタジオヒロシは「FUJIFILMおみせプリント」を採用しており、スマートフォンで撮影した画像をすぐに現像できる。また、スタジオヒロシではフォトブックを作成できる。現像することが少ない現代だが、思い出の写真を現像して、自分だけのフォトブックを作成してみてはいかがだろうか。
上方の写真はボランティアの学生。画像に移っている店のロゴを作成してくれた。
陸前高田に観光に訪れた際は、帰る前にスタジオヒロシで写真を現像し、またフォトブックの作成など、旅の思い出を美しい写真として残されることをお勧めしたい。
インタビュー先
店名： スタジオヒロシ
所在地：〒029-2205 岩手県陸前高田市高田町字大町50
定休日：水曜日
営業時間：9:00～18:30
電話番号：0192-55-2512
取材相手の氏名： 佐々木 宏 さん
インタビュー実施日：2020年9月22日（火）
インタビュアー自己紹介・感想
岩手大学1年 宮部紗希
実際に町を訪れたことで、陸前高田の現状や住む人の思いを知ることができた。また、震災に関連すること以外にも、美しい景色や美味しい食べ物、住む人々の温かさなど、魅力あふれる町だと感じた。この記事をきっかけに、ぜひ陸前高田を訪れてほしい。そして、スタジオヒロシで観光の写真を現像して形に残していただきたい。
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